愛猫が「ケッケッ」と何度も吐こうとしているのに毛玉を出せなかったり、食欲が落ちて元気がなくなったりしていませんか?猫が毛づくろいで飲み込んだ毛が胃や腸に溜まる「毛球症」は、放置すると手術が必要になるケースもある見過ごせない症状です。
毛球症の症状と原因
毛球症とは
毛球症(もうきゅうしょう)とは、猫が毛づくろい(グルーミング)で飲み込んだ被毛が胃や腸の中で毛玉(ヘアボール)となり、うまく排出できずに消化管内に留まってしまう状態です。通常、飲み込んだ毛は便と一緒に排出されるか、嘔吐で吐き出されます。しかし、毛の量が多すぎたり消化管の動きが弱まったりすると、大きな毛玉が形成されてトラブルを引き起こします。
毛球症になりやすい猫
| タイプ | 理由 |
|---|---|
| 長毛種(ペルシャ、メインクーンなど) | 毛量が多く、飲み込む毛の量が多い |
| 換毛期の猫 | 春・秋の抜け毛シーズンは飲み込む毛が急増する |
| 過剰グルーミングの猫 | ストレスなどで毛づくろいの頻度が高い |
| シニア猫 | 消化管の運動機能が低下し、毛を排出しにくくなる |
| 室内飼いの猫 | 繊維質の草を食べる機会がなく、自然な排出が難しい |
毛球症の主な症状
軽度から重度まで、症状には段階があります。
軽度の症状:
- 「ケッケッ」と吐こうとする動作が増える
- 時々、円筒形の毛玉を吐き出す
- 便に毛が多く混じる
中度の症状:
- 吐こうとしても毛玉を出せない
- 食欲の低下
- 便秘がちになる
- お腹を触ると嫌がる
重度の症状(すぐに受診が必要):
- 何日も食事を取らない
- 嘔吐を繰り返す(毛玉以外の内容物も含む)
- 元気がなくぐったりしている
- 便が全く出ない
重度の場合、毛玉が腸を塞ぐ「腸閉塞」を起こしている可能性があります。腸閉塞は命に関わる緊急事態で、外科手術が必要になるため、異変を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
毛球症の予防法・対処法
毛球症は日々のケアで予防できます。以下の方法を組み合わせて実践しましょう。
1. こまめなブラッシング
最も基本的で効果の高い予防法です。ブラッシングで抜け毛を取り除けば、猫が飲み込む毛の量を大幅に減らせます。
- 短毛種: 週2〜3回、5分程度
- 長毛種: 毎日、10〜15分程度
- 換毛期: 短毛種も毎日のブラッシングが理想
ブラシの種類はスリッカーブラシやファーミネーターなど、抜け毛をしっかり取れるタイプがおすすめです。猫がブラッシングを嫌がる場合は、おやつを与えながら短時間から始めて、少しずつ慣らしていきましょう。
2. 毛玉ケア用フードに切り替える
毛玉ケア(ヘアボールコントロール)対応のキャットフードには、食物繊維が多く配合されています。食物繊維が腸の運動を促進し、飲み込んだ毛を便と一緒にスムーズに排出する手助けをします。
毛玉ケアフードの選び方:
- 食物繊維の含有量が高いもの(粗繊維5%以上が目安)
- 主原料が良質なタンパク源であること
- 猫の年齢・体重に合ったもの
→ 詳しくは猫の毛玉ケアフードの選び方で解説しています
3. 毛玉除去剤(ラキサトーン)の活用
ワセリンや油脂をベースにしたペースト状の毛玉除去剤は、消化管内の毛を滑りやすくして排出を助けます。チューブから直接舐めさせたり、前足に塗って舐めさせたりして与えます。
- 予防目的なら週1〜2回程度
- 毛玉の症状が出ているときは獣医師の指示に従う
- 食事の前後30分は避けて与える(栄養吸収に影響するため)
4. 猫草の設置
猫草(えん麦やイタリアンライグラスなど)を食べることで胃が刺激され、毛玉の排出を促す効果が期待できます。すべての猫が好むわけではありませんが、興味を示す猫には常に新鮮な猫草を用意しておくとよいでしょう。
5. 水分摂取を増やす
水分をしっかり摂ることで消化管の動きが活発になり、毛の排出がスムーズになります。ドライフードだけでなくウェットフードを併用したり、流れる水が出るタイプの自動給水器を設置したりして、水分摂取量を増やす工夫をしましょう。
おすすめの毛玉ケアグッズとまとめ
毛玉対策におすすめのグッズ
- ファーミネーター(抜け毛除去ブラシ): アンダーコートの抜け毛を最大90%除去できると言われる人気のブラシ。短毛用・長毛用があるので猫の毛質に合わせて選びましょう
- 毛玉ケア対応キャットフード: ロイヤルカナンやヒルズなど大手メーカーから毛玉ケア専用フードが販売されています。繊維質が豊富で、日常的な毛玉予防に効果的です
- 毛玉除去剤(ラキサトーン等): ペースト状のサプリメントで、消化管内の毛玉を滑らせて排出を促します。おやつ感覚で与えられるフレーバー付きのものが猫にも好評です
- 猫草栽培キット: 水をあげるだけで簡単に育てられるキットが各社から販売されています。手軽に始められる毛玉対策です
よくある質問(Q&A)
Q. 猫が毛玉を何回吐いたら受診すべきですか?
A. 健康な猫でも月に1〜2回の毛玉嘔吐は正常範囲ですが、週3回以上の嘔吐が続く、吐こうとしても出ない状態が1日以上続く、食欲低下や便秘を伴う場合は受診のサインです。特に24時間以上食事をせず元気がない、腹部が張って触ると痛がるといった場合は腸閉塞の可能性があり緊急受診が必要です。レントゲンやエコーで毛玉の位置と大きさを確認してもらいましょう。
Q. 短毛種でも毛球症になることはありますか?
A. はい、短毛種でも毛球症は起こります。特に換毛期(春・秋)はアンダーコートが大量に抜けるため、短毛種でも毛玉嘔吐が増えます。また過剰グルーミング傾向のある猫(ストレス・皮膚疾患・暇を持て余している猫)は毛種に関わらずリスクが高いです。短毛種でも週2〜3回のブラッシングと換毛期のケアを怠らないことが大切です。
Q. ラキサトーン(毛玉除去剤)を毎日与える場合、何に注意すればいいですか?
A. 油脂ベース製品による脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収阻害に注意が必要です。製品の用法に従えば安全ですが、毎日長期間の使用は避けた方が良いとされます。油脂ベースの製品は脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を阻害する可能性があるため、予防目的なら週1〜2回、食事の前後30分を避けて与えるのが適切です。毛玉症状が強い時期のみ獣医師の指示で毎日与え、落ち着いたら頻度を減らしましょう。
Q. 猫草を食べすぎると、どのようなリスクがありますか?
A. 食べすぎると嘔吐を繰り返し、かえって胃腸に大きな負担がかかります。少量であれば問題ありません。目安は1日に数本(5〜10cmほど)程度で、猫草を食べた直後に毎回吐いてしまう子は食べすぎか体質的に合っていない可能性があります。その場合は猫草を控え、ブラッシングや毛玉ケアフードでの対策に切り替えましょう。また農薬を使っていない猫専用の猫草を選ぶことも大切です。
まとめ
猫の毛球症は、日常的なケアで十分に予防できるトラブルです。こまめなブラッシングで飲み込む毛の量を減らし、毛玉ケアフードや毛玉除去剤で体内からの排出をサポートするのが基本の対策です。特に長毛種や換毛期は毛球症のリスクが高まるため、いつも以上に注意してあげましょう。吐こうとしても毛玉を出せない、食欲がない、元気がないといった症状が見られたら、腸閉塞の危険があるため早めに動物病院を受診してください。毎日の小さなケアの積み重ねが、愛猫の健康を守る大きな力になります。
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